故松石高之氏撮影 写真 奈良の四季
いにしへの 奈良の都の 八重桜 今日九重に にほひぬるかな
あをによし寧楽のみやこは咲く花の
にほふがごとく今盛りなり


うらうらに照れる春日にひばりあがり こころ悲しもひとりしおもへば
春日野の若紫の摺り衣しのぶの乱れかぎり知られず


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故松石高之氏撮影


春
春日さす藤の裏葉のうらとけて君し思はば我も頼まむ
春の野にすみれ採みにと来しわれぞ 野をなつかしみ一夜宿にける





夏
ほととぎす鳴くや五月のあやめぐさあやめも知らぬ恋もするかな
春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
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紫は灰刺すものぞ海石榴市の八十の衢に逢へる児や誰
このころの恋の繁けく夏草の刈り掃へども生ひしくごとし


奈良
故松石高之氏撮影
君に恋ひいたもすべなみ奈良山の 小松が下に立ち嘆くかも(笠女郎)
月立ちてただ三日月の眉根掻き 日長く恋ひし君に逢えるかも(大伴坂上郎女)
をみなへし佐紀沢に生ふる花かつみかつても知らぬ恋もするかも(中臣女郎)

鈴虫の声の限りを尽くしても長き夜あかずふる涙かな
深き夜のあはれを知るも入月のおぼろけならぬ契とぞおもふ

身のうさを嘆くにあかで明くる夜はとりかさねてぞねも泣かれける


みちのくの忍ふ文字ずり誰ゆへに 乱れそめにしわれならなくに




秋
奥山に 紅葉踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ秋は悲しき
み吉野の 山の秋風 小夜更けて ふるさと寒く 衣うつなり
ちはやふる神代もきかず龍田川 からくれなゐに水くくるとは


みちのくの忍ふ文字ずり誰ゆへに
乱れそめにしわれならなくに
天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山に出し月かも









このたびは幣もとりあへず手向山 紅葉の錦神のまにまに
猿沢の池もつらしなわぎもこが玉藻かづかば水もひなまし




冬
み吉野の山の白雪つもるらし古里さむくなりまさるなり
憂かりける人をはつせの山おろしよはげしかれとは祈らぬものを
朝ぼらけ有明の月とみるまでに吉野の里にふれる白雪
春日野は今日はな焼きそ若草のつまもこもれり我もこもれり

かささぎの渡せる橋に置く霜の白きを見れば 夜ぞ更けにける














